会社などで、立場の弱い人たちが一方的に不利益を受けたり、不快な思いをするハラスメント。
そんなハラスメントの一つに「カスタマーハラスメント」があります。
今回は、まだ聞き慣れないこのカスタマーハラスメントについて整理しておきましょう。
企業や店舗は、対策が必要になっていますよ。
カスハラって?
カスハラとは、「カスタマーハラスメント」の略語です。
カスタマーとは顧客のことですので、お客様から受けるハラスメントということですね。
接客業をしていれば、お客様との間で一度は嫌な経験がある方も多いのではないでしょうか。
じつはサービス業で長いこと働いている私も何度か経験があります。
もちろんお金をいただいてサービスや物品の提供をするのですから、しっかりとその役目を果たさなければならないことは言うまでもありません。
しかしやはり人間が対応していますので、不注意や勘違い、間違いなどは発生します。
接客する側は誠意を持って謝罪したり、対価に見合う埋め合わせをしたりするのですが、それでは許せないとするお客様がいらっしゃいます。
ミスをしたという負い目があることから、許してもらえないお客様に強く出ることができず、お客様もそれに乗じて理不尽な振る舞いに出てモンスタークレーマーとなってしまう。
これがカスタマーハラスメントです。
カスタマーハラスメントはパワハラの一部と解釈されています。
厚生労働省が設置するサイト「明るい職場応援団」では、パワハラと認定する要素を3つ提示しています。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害されるもの
この3つすべてを満たすものがパワハラに該当します。
そして②を、業務ではないのですが、お客様からの「必要かつ相当な範囲を超えたもの」と読み直すことで、カスタマーハラスメントの認定をすることができます。
クレームとの違い
クレームとは本来、お客様が被った損害や不利益、苦情などを会社に報告することを言います。会社側はそれに対し、商品を交換したり、金銭で賠償したりすることで、お客様の損害や不利益をカバーします。
商品やサービスに支払った代金に見合うカバーがなされることで、クレームへの対応は終了するものです。
会社側も、お客様からのクレームのおかげで、製品やサービスが改善されることもあり、前向きなクレームは、会社や店舗とお客様の両者にとって有益なものです。
しかしこのクレームを超えて、理不尽な要求や脅迫のような言動に出るお客様もいらっしゃるのですね。
政府の対応
2020年06月に「女性活躍・ハラスメント規制法」が公布され、大企業は2020年6月1日より、中小企業は2022年4月1日から施行されることとなりました。
この法律の中で、雇用主に対し、ハラスメントに関する相談窓口の設置やマニュアルの策定、社内啓蒙活動など必要な措置をとることが義務付けられました。
そして10月には厚生労働省が具体的な対応マニュアルを策定することとなりました。
中小企業を中心に、この対応マニュアルに沿って、自社の対応を策定していくことになります。
まとめ
カスタマーハラスメントの話題になると、必ずと言って良いほど「お客様は神様なのか」という言葉が出てきます。
「お客様は神様なんだから絶対なのだ」という意味で解釈なさっている方もいまだ多いようです。
しかし、このフレーズを使った三波春夫さんはご自身の著書の中で、「舞台に立つとき、敬虔な心で神に手を合わせたときと同様に、心を昇華しなければ真実の藝は出来ない」との気持ちで発言した、と書かれています。
またホームページでも
「お客様は神だから徹底的に大事にして媚びなさい。何をされようが我慢して尽くしなさい」などと発想、発言したことはまったくありません。(引用)
と真意を説明しています。
ハラスメントは労働意欲を削ぎ、従業員のメンタルヘルスも悪化します。
会社として、毅然とした的確な対策を取っておきたいものです。